17日、中国のGDP(国内総生産)速報値が発表された。第2四半期(4-6月)の経済成長率は10.1%と第1四半期(1-3月)と比べ0.5%ポイント低下、2006年第2四半期をピークに緩やかに減速している。
こうした中国経済の動きについて、日本のマスコミはやや悲観的な見方をしているようだ。例えば、18日の日経新聞では、“中国、堅調内需に不安も”といった見出しが付いている。
アメリカ経済の減速、人民元の上昇から輸出が伸び悩む。物価上昇率が高く個人消費の先行きが心配である。インフレ対策から金融引き締め政策を続けているが、景気をオーバーキルしてしまうかもしれない。弱気派の考える懸念材料というのは、おおよそこれらの3点ではなかろうか。
6月の輸出は大きく鈍化したが、輸入もまた鈍化している。月次でみると、貿易収支は4カ月連続で上昇している。上期全体でみれば貿易収支は対前年と比べて11.8%減少している。しかし、下期も同じペースで減速したと仮定しても、外需は今年の成長率を1%強押し下げる程度である。
インフレについては確かに心配だ。原油を中心とした一次産品の価格動向が気になる。しかし、先物価格に限れば足元弱含む感じも見られる。とりあえず、食品価格が落ち着きはじめたことから、ここ2カ月、CPI(消費者物価指数)は鈍化傾向にある。
インフレ対策の必要性から金融引き締め政策は今後も継続しそうだ。株式市場には少々都合が悪い。しかし、景気を冷やしすぎてしまうことまで心配する必要があるだろうか。
金融市場では、いまだに過剰流動性が深刻である。現在、投資は高い伸びを続けており、政府としてはむしろ過剰な投資を抑えたいぐらいである。消費も足元では非常に好調である。いまのところ、消費の鈍化を心配するような局面ではなさそうだ。
政府の目標、研究者たちの意見をまとめると、中国の適正成長率は8%からせいぜい10%ぐらいである。今の成長率はまだ高い。経済減速は“経済過熱の収まり”であり、むしろ評価されるべきではなかろうか。
もっとも、日本のマスコミが中国経済の動向について、心配する気持ちはよくわかる。サブプライム問題で米国向け輸出に大きな期待が持てない状況で、中国向けの輸出が減速すれば、日本経済にとっては大きな痛手となる。なんとしても、中国経済は好調を維持してもらいたいものだ。(執筆者:田代尚機 TS・チャイナ・リサーチ(株)代表取締役)